【パリサミット(3日目)】「未来の教育」対話と涙の別れ
- 公開日
- 2024/12/14
- 更新日
- 2024/12/14
学校のコンパス
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現地時間12月11日、パリ・サミット最終日の様子をお伝えします。まずは、昨日の振り返りから。
各国の先生が一人ずつ、昨日の様子や取り組みを全体に共有しました。
3日目は「アクション(行動)からポリシー(教育政策)へ」というテーマのもと、教育の未来をつくるためのディスカッションが行われました。この日のキーワードとして浮かび上がったのは、カリキュラムの「自律性(Autonomy)」と「柔軟性(Flexibility)」です。「ひとり立ち」と「やわらかさ」と言い換えることもでき、それぞれの学校が独立して、柔軟に対応する力を指しているように感じました。
AIに代表されるテクノロジーの進歩や戦争・震災・コロナのような疫病。数年先さえどうなるかわからない時代を切り開いていく力を育てるためには、どの学校も似たような授業をしているだけでは十分ではありません。それぞれの学校が地域や子どもたちの特性に合わせて「ひとり立ち」し、自分たちで自分たちの学校を考え、創ること。そして、生徒一人ひとりに合わせた「やわらかさ」や、他校や国とのつながりを生む「やわらかさ」が必要。そのような投げかけだと感じました。
また、本校の「共創プロジェクト」のように、プロジェクト型の学習について考えることが前提になっており、これからの世界標準の授業は従来の一斉型の授業ではなく「プロジェクト型」が中心となるということが世界の共通認識、と言ってよさそうです。小津中学校の「学校のコンパス」や「共創プロジェクト」という取り組みが、世界の教育の潮流の中心にあることを改めて実感しました。
最終日のゴールは、「未来のカリキュラム」をつくる政策提言をグループごとに3分間のプレゼンテーションにまとめることです。OECDの政策提言は、各国の教育政策に影響力を持つ重要なものです。この日は10グループに多様なメンバーがランダムに振り分けられ、話し合いが行われました。こうしたOECDの国際サミットでは、生徒、先生、研究者、企業の人など多様な立場の人たちが自由に対話しながら意見をまとめていきます。世界の教育方針が、これほど対話によって生まれているとは、大きな驚きでした。小津中の生徒たちもしっかりと話し合いに参加していました。たとえば森﨑さんは「これからの学校の先生は、生徒の『友人』のような存在であると良いと思う」と発言し、生徒と先生の関わり方について議論を深めることができたようです。
最後は、各グループからの3分間のプレゼンテーション。生徒がスピーチを担うパターンが多く、どの国の生徒もプレゼンテーションに非常に長けていることに驚きました。生徒たちの想いからくる熱量とパフォーマンスは圧巻で、会場は熱気に包まれ、雰囲気は最高潮に達しました。
フィナーレでは写真撮影や記念品の贈呈が行われました。終了と同時に、ポルトガルのメンバーが駆け寄り、友好の証としてたくさんのギフトをプレゼントしてくれました。日本側からは、クリスマスカードを昼休みに作成し、メッセージを添えて手渡しました。3日間の濃い時間とこれまでの交流を共に過ごしたメンバーからは、涙がこぼれました。生徒たちは「また会おう」と何度も約束してお別れをしていました。
3日間で何を学び、日本や小津中に何を持ち帰れるのか。その学びや体験の濃さと深さは、現時点ではまだ言葉にできません。それでも、この体験を、小津中や日本中の学校を今よりもっと良いものにする力につなげないといけない、そんな気がしています。
今回の小津中メンバーのパリ・サミット参加にあたりご協力くださったすべての方に感謝いたします。